有機体ブロックを活用した酒田港北港における藻場造成・ブルーインフラ実証
再生資源を活用した海の基盤整備により、生物共生型港湾構造物の可能性を検証
株式会社環境内水面資源研究所では、山形県酒田港北港において、再生資源を活用した有機体ブロックによる藻場造成の実証に取り組んでいます。本実証では、海藻や付着生物が定着しやすい基盤材の 開発・設置を通じて、生物多様性の回復、水産資源の育成、ブルーカーボン創出につながるブルーインフラの可能性を検証しています。
山形県酒田港での実証実績
本実証では、2023年9月の有機体ブロック投入後、約1年半にわたり海中での経時変化を観察しました。初期付着生物から海藻類、岩ガキ、魚群の確認へと段階的な変化が見られ、有機体ブロックが藻場造成や生物共生型港湾構造物として機能する可能性が示されました。
投入後、付着生物から海藻類へ段階的に変化

珪藻類、フジツボ

シロボヤ、アオサ


紅藻類
ワカメ、ホンダワラ
2023年9月の投入後、ブロック表面には珪藻類やフジツボなどの初期付着生物が確認され、その後、シロボヤ、アオサ、岩ガキ、紅藻類、褐藻類へと段階的な定着が見られました。さらに、魚礁付近ではアジ、メジナなどの魚群も確認されています。



本取り組みの背景
酒田港では、港湾から脱炭素に貢献する新たな取り組みとして、令和5年より「ブルーインフラ実証実験」が進められています。本実証では、藻場や干潟、生物共生型港湾構造物など、海の自然機能を活かした基盤整備を通じて、ブルーカーボンの創出や生物多様性の回復につながる可能性を検証しています。
酒田港ブルーインフラ実証実験には、環境内水面資源研究所を含む5団体が参画しました。各団体が独自の基盤材や技術を活用し、藻場造成を通じた脱炭素、生物多様性の回復、生物共生型港湾構造物の可能性を検証するため、酒田港で実証実験を行いました。
実験方法
・酒田北港の船溜まりで5つの区域に基盤材を設置
・自然由来、母藻設置、海藻サンプルを固定した藻場造成
・スクーバ式潜水等によるモニタリング調査

区割り図:酒田港湾事務所提供資料より
本実証の目的
本実証では、藻場造成に必要な構造体として、有機体ブロックの形状や配合比を設計し、再生資源を活用したブロックの開発・設置を行いました。ブロックの経時変化、海藻や付着生物の定着状況を継続的に観察することで、藻場形成に必要な知見の蓄積を目指しています。
有機体ブロックの特徴
有機体ブロックには、各種栄養素を含ませ、時間の経過とともに周囲へ徐々に拡散していく設計が採用されています。また、経年で自然界に還ることを目指し、素材選定や組成・配合比をコントロールしたブロックを作製しています。実証では、正六角柱のブロックをコンクリート製台座に配置し、海中での経時変化と生物定着状況を観察しました。

製作したコンクリート製台座高さ3m(複数台設置)

正六角柱のブロック200mm×1000㎜、重量50kg各台座に4本ずつ配置
今後の展開
今後は、継続的なモニタリングを通じて、有機体ブロックの経時変化、海藻・付着生物の定着状況、水産生物の蝟集状況を検証していきます。また、港湾・漁港・沿岸域におけるブルーインフラ整備や、自治体・漁協・研究機関・企業との連携を通じて、持続可能な海の基盤整備への展開を目指します。